化粧品
ロレアル、インドのD2C「Innovist」を買収。大手が現地D2Cを取り込む
世界最大手のロレアルが現地時間6月18日、インドのD2C企業「Innovist」の過半数株式取得で合意したと発表した(日本ロレアルが7月3日に日本語で公表)。Innovistは2019年創業の科学的根拠に基づくデジタルファーストのパーソナルケア企業で、「Bare Anatomy」「Chemist at Play」を展開し、自社D2Cから大手EC・クイックコマース・店頭まで販売する。創業チームは少数株主として残り運営を継続。狙いは急成長するインド美容市場でのスケールと、デジタル発ブランドの取り込みにある。出典:日本ロレアル プレスリリース(PR TIMES・7.3・無料)
Innovistのデジタルファーストなブランド群は、ロレアルの既存ポートフォリオを自然な形で補完し、インドの消費者のニーズに特化した、科学的根拠に基づく高性能な製品を提供します。— 日本ロレアル プレスリリース
山口の視点クリームチームマーケティング代表
ここで読むべきは「大手が中小を飲み込む」という話ではありません。世界最大手が現金を積んででも欲しがったのが、D2Cの機動力、つまりお客様に直接届き、素早く試して直し、コミュニティを持つ力だという事実です。この力は、小さなブランドが本来いちばん持っている武器です。中小D2Cは身構えるより、自分の強み(お客様との距離の近さ、意思決定の速さ、ファンとの関係)を自覚して伸ばすほうが得です。買われるにせよ、大手と組むにせよ、独立で戦うにせよ、価値の源泉は同じ。まず「うちの強みは顧客との距離だ」と言い切れる状態にしておくことが、どの道でも効いてきます。
ポイント:大手が買ったのはD2Cの機動力。中小はそれを自分の武器と自覚して磨く。飲み込まれる心配より、選ばれる強みの言語化を先に。
化粧品
サントリーウエルネスの男性スキンケア「VARON」、年商63億円。継続率94%の裏側
サントリーウエルネスの大人男性向けスキンケア「VARON」が2025年12月期に前期比約30%増の63億円へ急成長。化粧水・美容液・クリームを1本にまとめる独自技術で入口の手間を消し、電話とLINEを客層で使い分けて継続を後押しする。定期の2回目継続率は94%。出典:日本ネット経済新聞(7.1・要無料登録)
「奥様や周囲の人から『最近若々しくなったね』と言われた」(中略)といった、生活や意識の変化(インサイト)を引き出す(中略)。定期で本購入したお客さまの2回目の継続率は、94%と高い水準を維持している。— 日本ネット経済新聞(酒巻真琴スキンケア部長)
山口の視点クリームチームマーケティング代表
63億円という数字より、2回目の継続率94%のほうが本質です。VARONがやっていることは2つ。まず「複数ステップを1本にまとめる」ことで、初回の面倒を消しました。次に、電話が好きなシニア層にはコールセンターから、若い層にはLINEでと連絡手段を分け、「使い始めてから、身の回りで何か変わりましたか」と“生活の変化”をお客様自身に気づかせて継続に変えています。技術は真似できなくても、この継続の設計は中小でもすぐ作れます。オールインワンで入口の手間を減らす/初回後に「3日目どうですか」と一声かける/年代で連絡手段を分ける。新規を集める広告費より、初回客を2回目へ引き上げる設計のほうがLTVを大きく動かします。効果を語るときは薬機法の範囲で“体感の言葉”に翻訳するのも忘れずに。
ポイント:継続率94%は技術でなく「続けてもらう設計」の結果。入口の手間を消し、初回後に一声かけ、客層で連絡手段を分ける。
化粧品
DECENCIA、営業利益13%増。敏感肌D2Cが挑む「本質的なLTV(生涯価値)」
ポーラ・オルビスグループで敏感肌特化スキンケアのD2Cを展開するDECENCIAが、2025年12月期の営業利益で前期比13%増の55億9200万円。西野英美社長は、年齢や契約形態で一律に区切らず、顧客の肌状態や心理に合わせて向き合う「顧客解像度」を重視する。定期便の配送箱を開ける瞬間を大切な接点と捉え、社長自らが2カ月に1回「交換日記(社長メッセージ)」を同梱している。出典:日本ネット経済新聞(6.30・要無料登録)
年齢や契約形態で一律にセグメントするのではなく、顧客の肌状態や心理に合わせて、コミュニケーションすべきだと考えている。— 日本ネット経済新聞(DECENCIA 西野英美社長)
山口の視点クリームチームマーケティング代表
数字より、社長が語る「本質的なLTV(生涯価値)」という言葉に注目してください。D2Cは購買データを細かく分析できます。でも、その裏にいるお客様一人ひとりの背景、たとえば同じ敏感肌でも元々の体質なのか突発的な不調なのか、そこまで見えているか。DECENCIAはそれを「顧客解像度」と呼び、年齢や契約でひとくくりにせず、肌状態や心理に合わせて声をかけ分けています。中小D2Cがすぐ真似られるのは、社長の交換日記のような「人の気配のある同梱物」と、配送箱を開ける瞬間の設計です。届いた箱が「ただの製品」か「きれいになる高揚感」かで、次も続けるかが変わります。データで狙いを定め、最後は人の言葉で寄り添う。この二段構えが、値引きに頼らない継続(LTV)をつくります。
ポイント:LTVはデータだけでなく「顧客解像度」で伸びる。年齢・契約で一律にせず肌状態と心理で声をかけ分け、開封体験と同梱物に人の気配を残す。
化粧品
DUO、8年連続No.1のクレンジングバームを軸に新展開。D2C発の「声を形にする」開発
D2C発のエイジングケアブランド「DUO」のプレミアアンチエイジングが、看板のクレンジングバームシリーズから「ザ クレンジングバーム ビタミン18」を7月30日に発売する(ツルハ・ウエルシアグループ店頭限定)。同シリーズは富士経済調べで8年連続クレンジングバーム売上No.1。創業以来ダイレクトに顧客とつながり、寄せられる声を素早く商品化してきた開発姿勢を掲げる。出典:健康美容EXPOニュース(6.30・無料)
創業以来ダイレクトにお客様とつながり、日々寄せられる商品やサービスに対するご意見や疑問などの声から、お客様のニーズを素早く形にしていくUniqueな商品開発にこだわってまいりました。— 健康美容EXPOニュース(プレミアアンチエイジング発表)
山口の視点クリームチームマーケティング代表
D2C発のブランドが、看板のクレンジングバームを1本磨き上げ、そこで得た顧客の声を新しい処方やチャネル(今回は店頭限定)へ広げています。学べるのは2つ。1つは「看板をNo.1まで磨く」こと。8年連続No.1は、あれこれ広げずに1本を育て続けた結果です。もう1つは、D2Cの最大の武器である「お客様の声を素早く商品化するループ」。直接つながっているからこそ、乾燥・弾力・くすみなど複数化する大人肌の悩みを、いち早く商品に反映できます。中小がすぐできるのは、レビューや問い合わせを“次の一手”の材料として仕組み化すること。なお成分(18種のビタミン)を語るときは、化粧品は薬機法があるので、効能の言い切りではなく使用感や使うシーンの言葉に翻訳するのが安全です。
ポイント:看板を1本No.1まで磨き、D2Cの強み「顧客の声→素早く商品化」を仕組みにする。成分は薬機法の範囲で体験の言葉に翻訳。
健康食品
ビタミンCサプリ「Lypo-C」のスピック、あえて対面を強化。「体感と説明」でLTVを上げる
「Lypo-C(リポシー)」のスピックが、ECが強いサプリ市場であえて対面販売(試飲と説明)を強化。ポーラ出身の片峰靖朗取締役が指揮する。取引先を「パートナー」と呼び、関係の濃さでクラス分け。狙いは、単なる物売りを超えた信頼関係の構築とLTVの向上にある。出典:日本ネット経済新聞(6.30・要無料登録)
対面接客を経てファンになった顧客は、転勤などでECへ移行した後もLTVや継続率が高く維持される傾向があるという。(中略)ECは入り口ではなく、リアルで価値を体感した人にとって、利便性の高いチャネルの1つとして位置付けられている。— 日本ネット経済新聞
山口の視点クリームチームマーケティング代表
ECが強い会社が、あえて手間のかかる対面に力を入れる。理由が鋭いんです。「対面でファンになった客は、後でECに移ってもLTVが高い」。つまりECは“入口”ではなく、“リアルで価値を体感した人が使う便利なチャネル”だという整理です。味にクセのあるLypo-Cは、説明して納得してもらう過程そのものが継続に直結する。中小D2Cにこれを翻訳すると、オンラインでも“体験と説明”は作れます。開封体験、使い方の動画、同梱の手紙、初回のフォロー連絡。特に「なぜこの飲み方(使い方)なのか」を伝えると離脱が減ります。取引先を「パートナー」と呼び、関係の濃い相手を厚遇した点も、少数の濃いファンを大切にする発想として学べます。EC対対面の二択ではなく、リアルで信頼を作りECで続けてもらう。両方を1本の線でつなぐのが勝ち筋です。
ポイント:ECは入口でなく“体感した人の便利チャネル”。オンラインでも開封体験・使い方説明・初回フォローで「体感と説明」を作る。
健康食品
オーイズミピュアルズ、社名・ブランドを刷新。原料単体から「教えて育てる」腸活へ
腸活サプリのバブルスターが4月に「オーイズミピュアルズ」へ社名変更。“価値が直感的に伝わる名前”を狙い、「Pure」+「Wellness」から命名した。ブランドも「LOHAStyle」から「MyLOHAS」へ刷新。原料単体の販売に加え、独自処方の腸活食品と、成分やレシピを解説するコンテンツで顧客育成を進め、今期30億円を目指す。出典:日本ネット経済新聞(7.4・要無料登録)
より直感的に価値が伝わる名前にしたいと考えた。そのため、社名は『Pure』と『Wellness』を掛け合わせた『Purells(ピュアルズ)』に決定した。— 日本ネット経済新聞(小倉由渡社長)
山口の視点クリームチームマーケティング代表
学べる点が2つあります。1つ目は名前の付け方。ブランド名や社名は「一瞬で何の価値かが伝わるか」で決める。刷新の狙いを“直感的に価値が伝わる”に置いたのは正解です。2つ目は「教えて育てる」姿勢。腸活のように専門的で迷いやすいカテゴリでは、売り込むより、成分の意味や使い方を丁寧に伝えるコンテンツのほうが、継続とブランドの信頼を生みます。ただし健康食品は景品表示法と機能性表示の壁があります。効果効能の説明は届け出た範囲と一般的な情報にとどめ、「治る」といった言い切りは避ける。ここを外すと、せっかくの育成コンテンツが指摘リスクに変わります。狙う客層を「ペット・アスリート・子ども」へ細分化する発想も、1つの強い成分を悩み別に届け直す良い手本です。
ポイント:名前は「一瞬で価値が伝わるか」で決める。専門カテゴリは“教えて育てる”コンテンツが効く。ただし表現は景表法・機能性表示の範囲で。
健康食品
機能性表示食品「ぐっすりマメ子」新発売。届出表示の“攻めと守り”のお手本
フローラプラスが、清酒酵母GSP6を機能性関与成分とする睡眠サプリ「ぐっすりマメ子」を発売。届出表示は「睡眠の質(深く眠れること)を向上させ、起床時の眠気をやわらげる」。脳波(デルタ波)や成長ホルモンのデータは“研究紹介”として明確に線引きし、商品効果の断定表現には使わないと自ら注記している。出典:健康美容EXPOニュース(6.29・無料)
本品には清酒酵母GSP6が含まれるので、一時的に睡眠の質に悩みを感じている方の睡眠の質(深く眠れること)を向上させ、起床時の眠気をやわらげる機能があります。— 健康美容EXPOニュース(届出表示)
山口の視点クリームチームマーケティング代表
新商品そのものより、“届出表示の作り方”に注目してほしい一本です。言えることを正確に、しかも「深く眠る」「すっきり起きる」という生活の場面に寄せて表現している。さらに脳波や成長ホルモンのデータは「研究紹介であって、商品効果の断定表現には使わない」と自ら線を引いています。これが機能性表示食品の作法です。中小が学ぶべきは、攻めの訴求と守りの表現を同時に設計すること。エビデンスを持っていても、LP(販売ページ)で断定に踏み込むと景表法・機能性表示のリスクになります。届け出た範囲で“生活の言葉”に翻訳し、研究データは根拠として控えめに添える。この線引きを最初から設計に組み込んでおくことが、指摘に強く、長く売り続けられる信頼につながります。
ポイント:機能性表示は「攻めの訴求」と「守りの表現」を同時設計。届け出た範囲を生活の言葉に翻訳し、研究データは根拠として控えめに添える。